研究員 林 芙優
核酸の体内への吸収に関する論文が、国際学術誌に掲載されました。その内容を解説します。
- 論文掲載誌 :
- Journal of Nutrition and Metabolism
- 論文タイトル :
- Characterization of Gastrointestinal Absorption of Salmon Milt-Derived Oligodeoxyribonucleic Acids in Mice
(マウスにおけるサケ白子由来オリゴデオキシリボ核酸の消化管吸収特性の解明) - オンライン掲載:
- https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1155/jnme/2183675
食べた核酸は体内で多様な働きをすることがさまざまな研究で明らかになってきています。しかし、どのような分子形態で小腸から体内へ吸収されるのかについては十分に解明されていません。そこで、「食べた核酸はどのような形で体内に吸収されるのか?」をテーマにした金沢大学での研究をまとめた論文が、国際的な科学雑誌に掲載されましたので、その内容をご紹介します。
食べ物に含まれる栄養素は小腸から吸収され、「門脈」と呼ばれる血管を通って肝臓へ運ばれます。その後、全身の血管に運ばれます。本研究では、健康なマウスに食品由来の核酸(DNA)を摂取させ、食べた核酸が体内でどのように変化し、吸収されるのかを詳しく調べました。
これまで核酸は、最小単位である「ヌクレオチド」からリン酸が取れた「ヌクレオシド」の形で門脈に吸収されると考えられてきました。私たちは、ヌクレオチドがつながっている状態でも核酸は体内に吸収されるのではないかと考え、ヌクレオチドが2つつながった状態の核酸を用いて、体内への吸収について測定しました。
その結果、食べた核酸は長いため、そのままでは吸収されず、小さく切れて小腸から吸収され、その後、肝臓を通過してヌクレオシドの形で全身をめぐることがわかりました。そして「ヌクレオシド」だけではなく、「ヌクレオチド」が2つつながった形(ジヌクレオチド)でも体内に吸収されることを発見しました。これは核酸の吸収に関する研究で初めての発見です。
この研究により、食べた核酸は体内に取り込まれることが科学的に明らかになりました。今回の研究はマウスを用いて行いましたが、今後はヒトでも同様の現象が起こるのか検証していく予定です。そして、さらに大きな形でも核酸が体内に吸収されるのかということについても、研究を進めたいと思います。

