オンライン科学雑誌「PLOS ONE」に論文が掲載されました

次世代核酸ラボFD須藤統括リーダー、同藤田研究員、大阪公立大学小島明子准教授らの共著論文が、オンライン科学雑誌「PLOS ONE」に2024年7月18日付で掲載されました。この論文は「核酸摂取によるがん増殖抑制効果」というテーマで、大阪公立大学の小島明子先生と進めている共同研究の内容をまとめたものです。

論文タイトル Suppression of Ehrlich ascites tumor cell proliferation via G1 arrest induced by dietary nucleic acid-derived nucleosides
(食事性核酸由来ヌクレオシドによるG1期停止を介したエールリッヒ腹水腫瘍細胞の増殖抑制)
論文概要 この研究では、エールリッヒ腹水腫瘍細胞(EAT細胞)を用いて、食事に含まれる核酸由来のヌクレオシドが、がん細胞の増殖に与える影響を調べました。研究結果によると、EAT細胞を腹腔内投与しがんを発症したマウスにDNAもしくはRNAを与えると、がんによる腹水が抑制されることを確認しました。細胞試験では、EAT細胞にRNAやDNA加水分解物を加えると、がん細胞の増殖が抑制されること、がんではない通常細胞ではDNA加水分解物やRNAを加えても細胞増殖は抑制されないことがわかりました。また、ヌクレオシドトランスポーターを介して吸収された、グアノシンと2′-デオキシグアノシンが、がん細胞の細胞周期、DNA合成準備期(G1期)からDNA合成期(S期)への移行を阻害し、EAT細胞の増殖を阻害することや、グアノシンと2′-デオキシグアノシンによって、がん細胞の発生と増殖を抑制する転写因子遺伝子「C/EBPβ」の発現が誘導されることがわかりました。これらの結果から、核酸を摂取することはマウスのEAT細胞増殖抑制に有効であり、核酸由来のヌクレオシドをEAT細胞の増殖抑制効果の機能性成分として同定しました。この研究は、がん細胞の増殖抑制における栄養成分の役割を理解し、新たな治療法の開発につながる重要な知見を提供しています。
著者 Nahoko Shiomi, Mamia Furuta, Yutaro Sasaki, Isao Matsui-Yuasa,
Keisuke Kiriyama, Mica Fujita, Keita Sutoh, Akiko Kojima-Yuasa

掲載論文は、下記のリンクより閲覧できます。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0305775

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