科学用語の解説免疫

  • アレルギー

    人間の体は異物(抗原)が侵入すると、その抗原に対抗する抗体を作って異物を排除しようとします。これが「免疫」という仕組みです。免疫は外界から体を守るために必要不可欠な反応ですが、過剰に働いて体に不都合な様々な症状を引き起こすことがあります。これを「アレルギー」といいます。また、アレルギーを起こす抗原のことをアレルゲンといいます。アレルギーが原因で起こる病気には、気管支ぜん息のほか、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症などがあります。

    • 獲得免疫

      生まれてからの経験を通じて獲得した免疫。自然免疫で対応しきれない異物を識別、対処する免疫。一度体内に侵入した異物を記憶し、それに対して抵抗性を持つ仕組み。体液性免疫と細胞性免疫に大別されます。

      • 顆粒球

        免疫に働く白血球の一種で骨髄系幹細胞から分化した細胞。好中球、好塩基球、好酸球などがあります。

        • キラーT細胞

          リンパ球の一種。がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃する細胞性免疫の主役。ヘルパーT細胞の指令で活動を開始し分化、増殖します。

          • 抗原

            生体に免疫反応を引き起こす物質の総称。ウイルスや細菌、花粉など。

            • 抗体

              抗原を排除するために作られるタンパク質の総称。

              • 好中球

                白血球の約45~75%を占める顆粒球の一種。強い貪食能力を持ち、細菌や真菌感染から体を守っています。

                • サイトカイン

                  情報伝達物質の一種。細胞間相互作用を担うタンパク質(あるいは糖タンパク質)。多くの種類があり細胞の分化・増殖、種々の機能の活性や抑制などに働きます。

                  • 細胞性免疫

                    抗体が関与しないT細胞による防衛が中心の免疫応答。異物に侵略された細胞や異常細胞そのものをキラーT細胞やマクロファージなどが破壊する。そのほかに樹状細胞やヘルパーT細胞などが働きます。

                    • サプレッサーT細胞

                      白血球(リンパ球)の一種。免疫応答の抑制や終了させるサイトカインを分泌します。

                      • 自然免疫

                        生まれた時から生体に備わっている免疫で、体内に侵入した異物に対する最初の防衛システム。マクロファージ、NK細胞、好中球などが働きます。

                        • 樹状細胞

                          白血球(単球)の一種。抗原を貪食するとともに、自然免疫系からシグナルを受け取ると、リンパ節に移動しヘルパーT細胞に情報を提示します。

                          • 制御性T細胞(Treg細胞)

                            T細胞の一種。正常な細胞が攻撃されないよう、ヘルパーT細胞やキラーT細胞の働きを抑制し、アレルギー反応や炎症反応などを抑える働きを持つと考えられています。

                            • 体液性免疫

                              B細胞で産生された抗体が中心の免疫応答。体液性免疫において抗原と抗体は特異的に結合します。この反応を抗原抗体反応といいます。抗原抗体反応は、抗体が抗原に付着することで起こる反応で、抗原を無毒化しマクロファージの貪食や補体の働きを活性化します。抗原抗体反応はB細胞が産生する様々な抗体の中にその抗原に対して、鍵と鍵穴のように抗原がぴったりと結合することによって起こります。

                              • 腸管免疫

                                腸管には免疫細胞が多く集まっています。腸管免疫系はパイエル板などのリンパ組織、粘膜上皮細胞、上皮の内側にある免疫担当細胞から構成されています。これらの細胞が協力して働くことにより免疫全体が活性化され、さまざまな病原体の攻撃から生体を守るために働いています。

                                • T細胞

                                  白血球(リンパ球)の一種。病原体に感染した細胞を攻撃する働きをもつ。

                                  • Th1細胞

                                    ヘルパーT細胞の一種。T helper 1 cell。キラーT細胞、マクロファージを活性化するサイトカインを分泌します。

                                    • Th2細胞

                                      ヘルパーT細胞の一種。T helper 2 cell。抗体産生を促進するサイトカインを分泌します。

                                      • ナチュラルキラー細胞

                                        白血球(リンパ球)の一種。自然免疫の主要因子として常に体内をパトロールし、異常細胞やウイルス感染細胞を殺傷、またはアポトーシスに導きます。

                                        • 白血球

                                          血液中の血液細胞の一種であり、細菌、ウイルス、真菌(カビ)といった外敵やがんから身体を守る働きをしています。顆粒球、単球(マクロファージ)、リンパ球などの種類があります。

                                          • B細胞

                                            白血球(リンパ球)の一種。抗体と呼ばれるタンパク質を作って分泌します。

                                            • ヘルパーT細胞

                                              獲得免疫における司令塔の役割を果たすT細胞の一種。B細胞の抗体産生を促進するサイトカインを分泌するTh2や、キラーT細胞やマクロファージを活性化するサイトカインを分泌するTh1などの種類があり、これらのバランスの崩れがアレルギーや自己免疫疾患に関与していると考えられています。

                                              • マクロファージ

                                                白血球(単球)の一種。細菌などの異物を貪食して細胞内に取り込み抗原提示を行います。大食細胞とも呼ばれます。

                                                • メモリーT細胞

                                                  病原体に感染した細胞などを攻撃したT細胞は仕事を終えると減少しますが、再度同様の病原体が侵入した際に素早く反応できるように抗原を記憶した細胞が残ります。この細胞をメモリーT細胞といいます。

                                                  • 免疫

                                                    生体防御機能のひとつ。ウィルスや病原菌といった有害な侵入物から体を防御するシステム。体内に元から存在する「自己」と、そうではない「非自己」を判別し、有害な非自己だけを排除する仕組み。

                                                    • リンパ球

                                                      白血球の一種。リンパ球系幹細胞から分化した細胞でT細胞、B細胞、NK細胞などがあります。

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